定量評価における重みづけの決定手法に関して勉強した内容をメモ。
総論
AHP(Analytic Hierachy Process:階層分析法,階層化意思決定法,多段階意思決定法)という手法において、採用されている一対比較法を用いてウェイト計算を行う。
AHPとは、
- A案,B案,C案のうち,商品のパッケージとしてどれが最良か?
- A商品,B商品,C商品のうち,消費者から選ばれる最良の商品はどれか?
など,“最良のもの”を選択するための分析手法で、”最良のもの”を選ぶために、候補を評価するための評価基準(例えば価格、品質、デザイン等)に分解し、それぞれの評価基準に重みづけした上で各候補をスコアリングして総合得点が一番高いものを”最良のもの”と判断するという手法である。
その手法の中の重みづけの工程だけ抜き出してウェイト計算を行う。
一対比較法とウェイト計算
先ほどの「価格」「品質」「デザイン」を例にとる。
一対比較法
一対比較法とは「価格」⇔「品質」、「価格」⇔「デザイン」、「品質」⇔「デザイン」という風に、各評価基準を一対ずつ比較し、どちらが重要かを判定する手法である。
比較の組み合わせは、mCnパターン存在する。(3C2=3パターン)
重要度の判定と9点法
定量的に重要度を判定するために、9点法という9段階での評価ですることが一般的らしいが、どこぞの研究で、
絶対的に重要 | 9点 |
かなり重要 | 7点 |
重要 | 5点 |
やや重要 | 3点 |
同程度 | 1点 |
という風に5段階で定量化するのが良いとされているらしい。
この辺の理論は一朝一夕で理解できるレベルを超えるらしいので過去の偉人さんを信じることにする。
5段階で評価するということで、必然的に各評価基準の比較表は以下のようになる。
左が絶対的に重要 (9点) |
左がかなり重要 (7点) |
左が重要 (5点) |
左がやや重要 (3点) |
同程度 (1点) |
右がやや重要 (3点) |
右が重要 (5点) |
右がかなり重要 (7点) |
右が絶対的に重要 (9点) |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
価格 | 〇 | 品質 | ||||||||
価格 | 〇 | デザイン | ||||||||
品質 | 〇 | デザイン |
実際には、この重要度比較表はアンケート形式などで複数人にヒアリングするのが良いだろう。
一対比較表の作成
重要度比較表が完成したら、その結果を基に一対比較表(一対比較行列)を作成する。
価格 | 品質 | デザイン | |
価格 | 1 | 7 | 5 |
品質 | 1/7 | 1 | 1/5 |
デザイン | 1/5 | 5 | 1 |
ウェイトの計算
一対比較表に基づきウェイトを計算する。ウェイト計算には、
- 固有ベクトル法(固有値法)
- 幾何平均法
- 対数最小二乗法
等既に確立された様々な方法があるらしい。
固有ベクトル法が優れていて一般的らしいが、計算が複雑なためExcelでやるなら幾何平均法がオススメ。
幾何平均法では、上の一対比較表の行方向に各スコアを掛けてn乗根(nは評価基準の数)を求める。
これをExcelで計算する場合は、「=x^(1/n)」と記述する。
正規化すると、価格:品質:デザインには71:7:22という重要度の比率があることが判明したので、これを重みとして、評価基準でスコアリングする際に加味すればよい。
(実際は価格:品質:デザイン=10:1:3という風に少し丸めて重みづけするのが良いと思われる。)
こんにちは、当方もウエイト計算が必要となり、このサイトが参考になり大変勉強になり、ありがたいです。
一つ質問ですが、『この重要度比較表はアンケート形式などで複数人にヒアリングするのが良いだろう。』のくだりの部分ですが、例えば、アンケートを2名に対して行った場合、もう1人が、『価格』と、『品質』のところで、右がやや重要(3点)を選んだ場合は、一対比較表は、どのように考えれば良いのでしょうか?
7点−3点の4点、それをアンケート対象者数の2で割って2として計算するのでしょうか?
すごい返信が遅れてごめんなさい。
手遅れかもしれませんがご回答します。
実際に仕事でやったときには、単純に平均値を取りました。
ご質問の例ですと、アンケートを2名に実施し、もう1人が、『価格』と、『品質』のところで、右がやや重要(3点)を選んだ場合、『品質』に対する『価格』のスコアは1人目が7点、2人目が1/3点ですので (7 + 1/3) / 2 = 3.67 となります。
しかし、他にもやり方があるようで、「アンケート結果をもとにみんなで話あってスコアを決める(例えば有識者が一般人から取得したアンケート結果を見ながら合意形成で決める)」や「単純な平均値ではなく幾何平均を取る」といった感じです。(どうやら幾何平均を取るのが数学的には一般的なようです。)
おそらくこうしないといけないといったやり方もないと思いますので、ご自身の状況によって最適なものを選ばれるのが良いと思います。