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改めてリーンスタートアップの要点まとめ(1/3) 全体概要&第1部

投稿日:2019年1月6日 更新日:

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ここ2、3年の仕事はプロジェクトをアジャイルで進めることが多く、かつ今度リーンスタートアップで提唱されているプロセスを採用するということで改めてリーンスタートアップを読んでみた。
以前読んだときは自分の仕事がウォーターフォール主流ということもありサクッとしか読んでなかったが、今回はちゃんと読んだので自分の頭の整理用にアウトプット。

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ざっくり全体概要

リーンスタートアップとは、スタートアップ(社内スタートアップ含む)という不確実な組織がいかにして持続的に成長していくかを体系的にまとめた方法論である。

スタートアップは資金面・市場ニーズ・成長ストーリー等において一般的な企業よりも相対的に不確実な要素を多く孕んでいる。故に不確実性をひとつひとつ潰しながら、組織の進む道を是正していく必要がある。そのためには、”検証による学び”とその学びを得るサイクルをいかに早く回していけるかが重要である。

具体的な手法として、

フィードバックループ
構築→計測→学習という”検証による学び”を得るためのサイクル
MVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)
アーリーアダプターを対象に、提供価値に対する市場ニーズがあることを確認する必要最低限の製品
革新会計
スタートアップの不確実性を考慮した管理会計に代わる事業進捗の計測手法
ピボット
当初の仮説に誤りがあった場合の方向転換(是正)
バッチサイズの縮小
フィードバックループを可能な限り小さく回し”検証による学び”を早期に得ること
3種の成長エンジン
組織が成長するための核になる要素とそのタイプ。これを理解することでどこに注力して学びを得なければならないかがわかる。

等が紹介されている。

また、方法論を支える組織について、

順応
問題に対して原因を明らかにするプロセス(5回のなぜ)と、影響の大きさに見合った手当(比例投資)を行える柔軟性の高い組織が必要。また、バッチサイズの縮小に関して、そのために技術投資や構造改革が必要なケースもある。
イノベーション
イノベーションのプラットフォームは経営幹部が責任を持って用意する。また、スタートアップが親組織に悪影響を及ぼさぬよう、独立したサンドボックス(影響が限定的な実験場)を社内に用意することも必要である。

と述べている。

スタートアップの定義と方法論の適用対象 :本書 2章に対応

スタートアップとアントレプレナー
起業家だけでなく、社内イノベーションや新規事業立ち上げを担うマネージャも定義の範囲内である。
  • 独立起業家
  • 社内の新規事業立ち上げチーム(とそのマネージャー)
  • 社内のイノベーション組織(とそのマネージャー)

etc…

以下は非常に共感した箇所。

大企業で成功しているということは、社内政治、人事、社内的な仕組みの海を上手に渡って成果を上げられる人物だという証拠なのだ。
[···中略···]
マークは、[···中略···]企業の前提条件を全てクリアしていたのだ。そこまでわかってはじめて、私は、ではなぜ私にアドバイスを求めるのかたずねてみようと思った。返ってきた答えは「材料はすべて揃っていると思うのです。たきつけも、薪も紙も火打ち石もありますし、火花程度なら起こせていると思います。でも、炎にならないのです」だった。マークが勉強したマネジメント理論は社内にスタートアップチームを設置するためにはどのような組織にすべきかを重視しており、イノベーションを「ブラックボックス」のように取り扱っていた。ところがマークはそのブラックボックスの内側で仕事をしなければならないため、アドバイスを求めることにしたのだ。

経営幹部の協力を得、イノベーション組織を立ち上げ、優秀な人材を集めても、イノベーションの実態となる製品づくりとその拡大はやってみないとわからないことが多すぎる。

スタートアップにとっての価値と注力すべきこと :本書 3、4章に対応

スタートアップにとっての価値と無駄

価値=顧客にとってメリットを提供するもの。

ただ、顧客にとって何がメリットかは最初はわからない。だから学ぶ。
顧客の望みを学ぶためにどうしても必要なもの以外の努力はしなくてもいい(=それ以外の努力は無駄)。

ユーザー数やコンバージョン率等の見せかけのKPIが上がらないからといって、広告や営業、キャンペーンなどに貴重な資源を浪費してはいけない。(それが成長のエンジンになっているのであれば別だが)

我々がやらなければならなかったのは、虚栄の評価基準と「成功劇場」に頼りたいという誘惑に負けず、製品開発という形で大きな成功に向けて少しずつ進んでいると証明することだった。
[···中略···]
広告による盛りあがりは過去のものとなる。この道を選んでいたら貴重な資源を前進ではなく演出に浪費してしまい、にっちもさっちも行かなくなっただろう。
いまは、人間が思いつける製品ならまずまちがいなく作れる時代だ。問うべきなのは「この製品は作るべきか」であり「このような製品やサービスを中心に持続可能な事業が構築できるか」である。

まず注力すべきこと

重要な2つの仮説と実験

まずは重要な2つの仮説の検証に注力する。
初期の実験により要になる2つの仮説の検証を行い、計画の勝ち目が見えたら本格的にフィードバックループを回して成長を加速させていく。

価値仮説
想定した製品やサービスが本当に顧客にとって価値(=メリット、ニーズ)あるものなのかを判断する仮説。
例 社内ボランティア制度を企画する場合)
ボランティアのプログラムの参加者は、自分の時間を他人のために使うことが本人にとって価値があると思うはずだ(という仮説)。
成長仮説
顧客が製品やサービスをどう捉え、それは拡大できるのかを判断する仮説。
例 社内ボランティア制度を全社的な取り組みとして拡大する場合)
ボランティア制度が動き出したあと、それが社員に口コミでウイルスのように伝播していくはずだ(という仮説)。

この2つの仮説を検証するのが実験である。
上記の例で言えば、トライアル的にボランティアを企画し、価値仮説の検証のためにアーリーアダプター(最もボランティアに前向きと思われる人たち。例えば古参社員や叩き上げ社員)に最初のボランティアに参加してもらうという方法が考えられる。
最初の参加者が、次のボランティアにも一定割合参加してくれれば、価値仮説が正しい可能性がある(正しいと決まった訳ではない)。
逆に最初に参加した人たちが全く参加してくれないようでは、この価値仮説はとうてい的外れだったことがわかる(最も参加してくれそうな人たちが価値を見出さないようではとてもマスターゲットに価値を提供できるとは思えない)。

また、成長仮説の検証のために、最初の参加者が何人に口コミをし、口コミされた人が次にどれだけ参加してくれるかを計測すれば良い。口コミで次の参加者が最初の参加者よりも増えれば、制度として拡大の見込みがある。
ただし、最初の参加者はあくまでもアーリーアダプターのため、顧客をマスターゲット(この場合は一般社員になるだろう)に移した場合に同じように成長するかは改めて計測する必要がある。

実験は最初の製品でもある

確かに上記の例では、トライアルとは言えボランティを実施している。これが思いの外短期間で成功すれば、広報活動に移り一気に制度を拡大することもできる。

リーン・スタートアップ・モデルにおける実験は、単なる理論の探求ではなく、最初の製品でもある。実験のどれかが成功すれば、それはつまり広報活動を始められることを意味する。

 
 
第2部まとめにつづく。
 

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